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六 聖なる司祭職の授与


 主はさらに、聖なる種々の奥義について教えられ、使徒たちが主の記念として、世の終わりまでこの聖なる秘跡を続けていくように仰せられた。さらに儀式と授与の要点を語り、この秘跡を次々と他の者に伝えていくようにとお話しになった。また主は、残った御聖体をいつ、再び拝領すべきか、いつ、聖母に、お授けすべきかについて指図された。しかし聖霊が降臨したならばかれらが自分で、聖餐を聖別するように仰せられた。  

 さらに主は司祭職や、塗油、聖油の作り方および聖油について教えられた。また油をいかに混ぜるか、いつ塗油するかについても多く語られた。また主は帝王の塗油についても言い及ぼされt、不正な帝王でも、塗油によって他のものと違った神秘的な権力を持つに至るようになるものであると、お教えになった。

 主は固い油と。液状の油を空の小箱の中に入れて、両方を混ぜられた。次いでわたしは主がペトロとヨハネに塗油されるのを見た。主は食卓の中央から少し端の方に寄り、二人の上におん手を、まず肩に、次いで頭に置かれた。その間、二人は両手を合わせ。親指を組み合わせていなければならなかった。次に二人は主の前に深くかがんだ。主はその親指と、人差し指とに塗油し、さらに頭にも油で十字架を印された。

 主はこの徴は世の終わりまでかれらにとどまろうと仰せられた。さらに小ヤコブ、アンドレア、大ヤコブ、バルトロメオも司祭職を授けられた。

 わたしは - とても言い表すことは出来ぬが - イエズスがこの塗油によって何か重大なもの。超自然的なものを与えられるのを見た。主はさらにかれらが聖霊を受けて後、まずパンとぶどう酒を聖別し、また他の使徒たちにも塗油するようにと仰せられた。わたしはその時ペトロとヨハネが聖霊降臨の日に、あの大洗礼に先立って、他の使徒たちに按手し、またその後八日目に、他の大勢の弟子たちに同様の按手ををしたのを見た。またわたしはヨハネがご復活の後始めて聖母に、御聖体をお授けしているのを見た。その後、この出来事を記念し、使徒たちはいつも祝い日として祝った。教会では、もうしていないが、凱旋の教会ではその日は、今なお祝われている。 聖霊降臨の始めのころはヨハネとペトロだけが聖なる秘跡を聖別しているのを見たが、後には他の者もみなするようになった。

 主は青銅製の鉢の火も聖別された。それは過越しの窯のある部屋に安置してあるの御聖体のそばに保存された。

 主が聖なる晩餐のご制定の際行われたことはすべてきわめて秘密のうちに実施され、また、秘事として伝えられ、今日まで教会に存続している。しかし、聖霊のご教示により、必要に応じて、それに種々加えられている。

 これらの聖なる儀式が終わってから、杯と容器は、聖別された油で塗られた。それからペトロとヨハネによって、そのすべては、幕で広間と仕切られている部屋へ持っていかれた。この部屋は今や至聖所となった。御聖体は窯の祭壇の壁のうちに安置された。その後、アリマテアのヨゼフとニコデモは使徒たちの不在の折、この広間を守った。

 イエズスはさらに長い話をされ、また多くの祈りを非常に熱心にお唱えになった。それはあたかも、天のおん父とお話しになっておられるようであった。主は非常な熱心と、愛に満ち溢れられた。弟子たちもまた、喜びと熱心に燃えていた。かれらはいろいろなことを尋ね、主はそれにお答えになったが、すべてこれらの事柄のいくつかは、聖書に出ていると思う。またこのお話しの間、主は一番そば近く座っていたペトロとヨハネに二・三の事柄を語られた。それは後に他の者にもその理解が可能になってから知らせるようにと仰せられた。主はまたねヨハネが他のものよりも長生きするだろうということをヨハネだけにお話しになった。さらにまたヨハネに七つの教会、王冠、天使および未来のある出来事を意味する意味深いたとえについて語られた。他の使徒たちは主がヨハネに特別の信頼を示しておられたのでヨハネに対してほのかな畏敬を感じていた。

 また主は、裏切り者について、何度か語られた。ユダがちょうどその時していることをお話しになった。わたしは主が使徒たちに告げられた通りのことをユダがその時やっているのを見た。ペトロはまたもや本気になって、自分はどんなことがあっても主に従い抜くことを誓った。すると主は、「シモン、シモン、サタンはおまえをほしがっている、サタンはおまえを麦のように選び別けようとしている。しかしわたしはおまえの信仰がゆるがぬように祈った。おまえがいつか全く改心した時に、おまえの兄弟たちを力づけよ」と仰せられた。

 しかしイエズスがさらに、ご自分が行く所にはかれらはついて来ることはできぬと仰せられると、ペトロは死んでもついて参りますと言った。するとイエズスは、「本当におまえは鶏が二度鳴く前にわたしを三度いなむだろう」とお答えになった。主はかれらに迫っている苦しみの時に注意して「わたしはおまえたちを、財布も靴も袋もなしに、派遣したが、おまえたちは何か不自由したことがあったか?」とお尋ねになるとかれらは「いいえ」と答えた。主はさらに続けられ、「今は袋や財布のあるものは、それを持っているように、またなにも持っていない者は自分の着物を売って刀を買え、なぜなら聖書の『かれらは悪事をしたもののうちに数えられた』と言う言葉が今こそ成就されねばならぬから、かれについて書き記されていることはすべて成就に近づきつつあると仰せられた。かれらはすべて物質的なことに解釈した。そしてペトロは主に二振りの刀をお見せした。それは短くて幅の広いものであった。イエズスは「もうたくさんだ。さあ出かけよう」と言われた。

 そこに聖母とクレオファのマリアおよびマグダレナらが来て、人々が主を捕らえようとしていると言ううわさがあるからオリーブ山に行かぬようにひたすらお願いした。しかしイエズスは、二言三言かの女たちをお慰めになり、すばやくそのそばを通り抜けて歩み行かれた。それは、多分晩の九時ごろであったろう。

 一同はペトロとヨハネが、けさ早くいった道を通って、オリーブ山に向かった。



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